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蜜蝋ワックスって何?天然由来成分で子どもやペットにも安心

蜜蝋ワックス デメリット

床やインテリアにワックスがけをしたとき、ワックスを塗装した後のにおいで気分が悪くなったり、体に悪い成分が入ってないか気になったことはありませんか?

せっかく無垢材の床にしても、化学物質が入っているワックスを塗装してしまったら効果が薄れてしまいます。

そこで天然素材の蜜蝋ワックスを使用すれば、化学塗料の独特のにおいを気にせず安心して使えます。

この記事では、蜜蝋ワックスとは何でつくられているのか、効果や使用時の注意点についてまとめました。

購入前に確認してみましょう。

蜜蝋ワックスとは?

蜜蝋ワックスとは、蜂蜜を採取し終わったミツバチの巣に残っている蜜蝋と、植物油を混ぜて作られた天然のワックスです。

主に無垢の木材や本革製品の表面保護やツヤ出しのために用いられます。

化学塗料と違い、木材の呼吸を止めることがないため、木材本来の調湿作用を保ちながら表面を保護できます。

蜜蝋ワックスは蜜蝋と植物油のみでつくられているものの他に、樹脂や鉱物油を含んでいる製品もあります。

環境や人体にやさしい塗料は、こちらの記事で紹介しています。

自然塗料とは?主成分や種類、安全性について解説
リボス自然塗料とは?アレルギーに対応した塗料について解説
低VOC塗料とは何か?環境への配慮と健康への影響

蜜蝋ワックスの歴史

蜜蝋ワックスの歴史は、自然素材を活用した人々の知恵と共に長い年月を歩んできました。
その起源は古代に遡り、蜜蝋はすでにエジプトやギリシャの時代から重要な素材として使われていました。

エジプトでは、防水や防腐の目的で蜜蝋が使われ、遺跡からは蜜蝋を利用した痕跡が見つかっています。
一方、ギリシャでは蜜蝋が木材の保護や艶出しに利用され、古代建築物の維持にも貢献していました。

中世ヨーロッパでは、蜜蝋は特に家具や楽器の手入れに用いられ、高貴な雰囲気を醸し出す素材として愛されました。
その美しい仕上がりと自然な香りは、上流階級の間で高い評価を受け、職人たちの手により技術が洗練されていきました。

現代においては、蜜蝋ワックスは環境に優しい素材として再び注目されています。
化学製品に頼らず、伝統的な手法を取り入れた製品がエコロジーの観点からも支持され、無垢材や革製品の保護に広く利用されています。

このように、蜜蝋ワックスは自然と人々の暮らしを繋ぐ、歴史深い素材なのです。

無垢材にワックス塗装は必要?

無垢材は何もしないと水分を吸収しやすい状態になっています。

何かで塗装しないと液体をこぼしてしまうと吸収してシミになりやすいのです。

ワックスで保護することでシミがつくのを防止するだけでなく、無垢材のささくれや割れを防止する効果もあります。

ワックスは大きく分けて「塗膜タイプ」と「浸透タイプ」の2種類があります。

塗膜タイプはその名の通り、木材の上に塗膜を作って保護します。

塗膜があると木が呼吸できなくなるので、無垢材へ塗装する際は浸透タイプを選びましょう。

蜜蝋ワックスと他のワックスの比較

蜜蝋ワックスと他のワックスを比較すると、それぞれに特有の特徴やメリットがあります。

合成ワックス

合成ワックスは、耐久性が高く、広い範囲で使用できるのが利点です。塗布後の保護膜が強く、長期間の使用に向いています。ただし、化学成分が含まれているため、自然素材を好む人にはやや抵抗があるかもしれません。また、強い匂いが気になる場合も。

シリコンワックス

シリコンワックスは、光沢を重視した製品で、特に家具やフローリングの仕上げに使用されます。手軽に使える点が人気ですが、表面的な保護がメインで、素材そのものへの浸透性は低いことがあります。

このように、使用目的や好みに合わせてワックスを選ぶことが大切です。蜜蝋ワックスは、素材への優しさや自然派志向の方に特におすすめです

蜜蝋ワックスのメリット

蜜蝋ワックスには、それぞれメリット・デメリットがあります。

まずは、メリットをみていきましょう。

天然素材で安心して使える

天然由来成分のみで作られているため、お子さんやペットがいる家でも安心して使えます。

なお、ほとんどの製品が天然素材100%ですが、子供やペットでも大丈夫か購入前に確認するようにしてください。

塗りやすく塗りムラも出にくい

蜜蝋ワックスは半固形タイプの製品が多く、塗りやすいというメリットもあります。

ワックスと聞くと固形のイメージを抱く方もいますが、蜜蝋ワックスはなめらかな半固形タイプなので固形のものと比べて塗り広げやすいです。

まんべんなく塗り伸ばせば、塗りムラができることもありません。

初めてワックスを使用する方でも扱いやすいでしょう。

自然な風合いを保てる

蜜蝋ワックスは自然なツヤが出る作りになっています。

木にしっかり染み込んで自然のツヤが戻り、素材本来の色合いをキープできます。

自然な風合いを維持したいと考えている方にとって、蜜蝋ワックスは理想の商品です。

防汚・防腐・撥水効果が得られる

蜜蝋ワックスは無垢の木や本革に対して表面に皮膜をつくります。

表面が保護されることで防汚、防腐効果、撥水の効果が得られます。

本革には適度な柔らかさと栄養を与え劣化を防ぐ

本革は定期的に栄養分、油分を与えなければ、素材が痛み、ボロボロになる場合があります。

蜜蝋ワックスを使用することで本革に適度なツヤと栄養分を与え、劣化を防ぐことができます。

また革が適度に柔らかくなるため、革ジャンや靴など固い素材にも適しています。

ワックス特有のきつい臭いがなく自然な香り

多くの蜜蝋ワックスは植物油の香りだけのため、中には「無臭」と感じる方もいらっしゃるほどにおいが気になりません。

材料によっては草っぽい、いわゆる自然の香りがする場合がありますが、乾燥するとにおいは無くなっていきます。

蜜蝋ワックスのデメリット

デメリットも確認しておきましょう。

こまめにメンテナンスする必要がある

蜜蝋ワックスは化学薬品などを含んでいないため、塗膜がやや剥がれやすい点に注意が必要です。

特に屋外で使う場合はメンテナンスをこまめに行う必要があります。

ランニングコストが高くなりやすいという点は把握しておきましょう。

カビが生える場合がある

蜜蝋ワックスには化学塗料によく含まれている防腐剤が含まれていないため、カビが生える場合があります。

温度や湿度が高い季節やほこり・垢などが溜まっている部分にはカビが生えやすいため、掃除を定期的に行うことが大切です。

なお、カビが生えてしまった場合もカビ部分を取り除いてワックスを塗りなおすことで、そのまま使えます。

匂いが苦手と感じる人も・・・

蜜蝋ワックスは化学的な匂いがしづらい天然成分のワックスですが、人によっては匂いが苦手と感じる場合もあるでしょう。

匂いが苦手かどうか気になる場合には、不要な板に塗って1~2週間おき、匂いを確認して大丈夫なら床に塗る、といった使い方をすると安心です。

蜜蝋ワックスの活用事例

蜜蝋ワックスは、その天然素材の特性を活かし、多岐にわたる用途で活用されています。

無垢材の家具の保護

蜜蝋ワックスは無垢材のテーブルや棚に塗布されることで、木材本来の風合いを保ちながら、撥水性や耐汚性を向上させます。ナチュラルな仕上がりで、インテリアの温かみを際立たせるのに最適です。

革製品のメンテナンス

財布や靴、バッグなどの革製品に蜜蝋ワックスを使用すると、適度な柔らかさを保ちながら劣化を防ぐ効果があります。さらに、表面に栄養を与え、艶やかな仕上がりを楽しむことができます。

DIYクラフト

蜜蝋ワックスは手軽に使用できるため、木材や革を扱うDIYプロジェクトにも重宝されています。例えば、自作のインテリア小物やアウトドア用品の防水・保護材として利用されます。

住宅のフローリング保護

フローリングに蜜蝋ワックスを使用することで、滑らかな仕上がりと防汚効果が得られ、毎日のお手入れがしやすくなる点が人気です。

キャンドル作り

蜜蝋ワックスは自然の香りと美しい燃焼特性から、手作りキャンドルにも使用されています。環境に配慮した素材として、インテリアやギフトアイテムに最適です。

蜜蝋ワックスの選び方

蜜蝋ワックスには種類があります。

塗る対象によって選ぶものが異なりますので、それぞれの基準による選び方を紹介します。

固さ

蜜蝋ワックスの固さは製品によって異なるため、購入前に確認しましょう。

ワックスの固さには、バター状・クリーム状・ヨーグルト状などがありますが、半固形タイプのクリーム状のものが扱いやすくおすすめです。

固形タイプのものは長期的に保管しやすいですが、扱いに慣れている方におすすめします。

適した材質

蜜蝋ワックスによって塗布できる木の材質が異なります。

事前にどの材質に合うのか調べてから購入することをおすすめします。

メンテナンスの頻度

メンテナンスの頻度や耐久性についても確認しましょう。

商品の詳細に、どのくらいの期間塗り直さなくても持つのか表記されていることがあります。

塗装可能な面積

蜜蝋ワックスは容量だけでなく、どのくらいの面積に塗れるのかということをチェックするのが大事です。

ワックスを塗りたい広さを測っておき、2〜3回塗れる容量が入っている蜜蝋ワックスを選ぶのをおすすめします。

容量に余裕があれば、メンテナンスのたびに買い直す手間が省けます。

蜜蝋ワックスの塗り方

ここからは、蜜蝋ワックスの塗り方を紹介します。

塗布できる素材かどうかを確認する

無塗装の無垢の木材、集成材であるかどうかを確認します。

水滴をこぼし水を弾く場合は、すでに塗装済み、コーティング済みである可能性があります。

すでに塗装、コーティングされている場合は、リムーバー等で取り除く必要があります。

化学塗料の上から蜜蝋ワックスを塗布すると、染み込まずにワックス分が浮き上がる場合がありますので注意してください。

塗布するための道具を準備する

蜜蝋ワックスはウエスやスポンジを使って塗布していきます。

手や肌についた場合は石鹸で洗えば落ちますが、手袋をして作業すると手が汚れず作業もしやすいです。

塗り込む

ウエスに蜜蝋ワックスを少量取り、塗り伸ばします。

このとき、無垢の木材に関しては、木目に沿ってしっかり塗り込みます。

そうすることで、木が水分を通す管に塗り込まれ、水分や湿気の吸収による変形を防ぎます。

乾拭き

8時間程ワックスが染み込むのを待ち、乾燥させます。

その後、何もついていない乾いたウエスで表面を乾拭きして余分なワックスを取り除いたら完成です。

より深い、味のある風合いに仕上げたい方は、重ね塗りをおすすめします。

蜜蝋ワックスを塗布した後、2〜3日乾燥し、拭き取った後塗布する工程を3回程度繰り返すことで、さらに味のある仕上がりになります。

メンテナンスについて

蜜蝋ワックスを塗り直すタイミングは、手で触って「乾いてきた、かさつく」と感じたときです。

製品にもよりますが、半年〜一年に一回程度が目安です。

木材の場合、石鹸水で洗い流し、サンドペーパーで塗装面を整えると、さらに効果的です。

蜜蝋ワックスの保管方法

蜜蝋ワックスは直射日光や高温を避け、乾燥した涼しい場所で密閉容器に保管してください。

湿気や空気に触れると劣化するので注意しましょう。

硬くなった場合は、常温で少し置いておくと元の柔らかさが戻ります。

蜜蝋ワックスの注意点

以下のケースに当てはまる場合は、蜜蝋ワックスを使用しても大丈夫か、購入前に確認してください。

1歳未満の赤ちゃんが家にいる場合

1歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べると、乳児ボツリヌス症にかかる危険性があります。

乳児ボツリヌス症は、ハチミツに入っているボツリヌス菌が原因です。

蜜蝋ワックスは蜂蜜を採取し終わったミツバチの巣に残っている蜜蝋が主原料となっているため注意が必要です。

ただし、蜜蝋ワックスにはボツリヌス菌がほとんど入っていないという説もあり、1歳未満がなめても大丈夫と記載している製品もあります。

しかし、製品によっては入っている可能性もあるため、1歳未満の赤ちゃんがいる場合は購入前にメーカーに必ず問い合わせしてから使用してください。

化学塗料仕上げの床には塗れない

マンションなどでよくある化学塗料仕上げの床に対しては、蜜蝋ワックスを上から塗っても染み込まないことがあります。

製品によっては化学塗料仕上げの床には使えないと記載があります。

マンションは基本的に化学塗料仕上げであり、そもそもロウタイプのワックスの使用が禁止のマンションもあるので事前にしっかりと確認しましょう。

まとめ

蜜蝋ワックスは天然由来成分でつくられた安心して使えるワックスです。

無垢材の床に塗るならワックスも天然のものがいいですよね。

木材も塗料も天然素材のものを使って、健康な暮らしを手に入れましょう。

ゆいまーるClubでは、自然素材にこだわり、住まう人が元気に毎日を心地よく過ごせる住まいをつくることを大切にしています。

お気軽にご相談やお問い合わせください。

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