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ブナのフローリングにはどんな特徴がある?メリットデメリットについてご紹介

ブナ
ブナという木材をご存じでしょうか?名前はよく耳にするものの、実際にどのような特性を持つ木材なのか詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。

ブナ材は、強度と美しさを兼ね備えた優れた床材として、自然素材にこだわるリフォームで注目されています。

今回は、フローリングにおけるブナ材の特徴やメリット・デメリット、選ぶ際のポイントなどを詳しくご紹介します。

ブナとは

ブナは、別名ビーチ(Beech)とも呼ばれる、ブナ科ブナ属の落葉広葉樹です。

日本では白神山地の美しいブナ林が世界遺産として有名ですが、フローリング材として流通しているのはヨーロッパ産のものが多い傾向にあります。

ブナは世界で約120種類もの品種が存在しており、日本国内に自生するものを「ブナ材」、海外(特にヨーロッパ)産のものを「ビーチ材」と区別して呼ぶことがあります。

ただし、どちらも同じブナ科の樹木であり、基本的な特性は共通しています。

ブナ材の歴史と加工技術の進化

かつてブナ材は腐食しやすく、乾燥すると大きく反ってしまう特性から、加工に不適切とされていました。

しかし、近年の乾燥技術や加工技術の発達により、床材のほか、家具、楽器、筆の柄など、多くの製品に利用されるようになっています。

特に日本では、ブナ材が建材や家具材として一般的に使用されるようになったのは比較的最近のことで、十分な乾燥処理技術が確立されたことで、その優れた特性を活かせるようになりました。

ブナ材の見た目の特徴

木材の中央を切ったときに出る「柾目」には、美しい虎斑(とらふ)と呼ばれる模様が見られることも特徴の一つです。

また、メイプル材と同様に白っぽい色合いをしていますが、メイプル材よりもやや赤みがかった淡いピンク色を帯びています。

ブナ材の色味には、赤みの強いものから黄色っぽいものまで個体差があり、これを「赤ブナ」「白ブナ」と区別することもあります。この自然な色のバリエーションが、ブナ材ならではの温かみのある表情を生み出しています。

素朴でナチュラルな雰囲気を持っているため、北欧テイストの住宅の床材などにも適していると言われています。

ブナ材をフローリングに使うメリット

では実際に、ブナのメリットについて見ていきましょう。

強度が強い

最も大きなメリットとしては、高い強度を持つことです。

ブナは非常に頑丈なため、様々な家具に用いられることが多く、フローリングとしてもよく使用されます。

硬さがあるため、ものを落としたりしたときにも強く、負荷がかかりやすいフローリングの木材に選ぶには最適であるといえるでしょう。

特に、ペットを飼っているご家庭や小さなお子様がいるご家庭では、床に傷がつきにくい硬質な木材が好まれます。

ブナ材は凹みへの耐久性に優れているため、長年使用しても美しい状態を保ちやすい特徴があります。

素朴でナチュラルな雰囲気

また、先述したように素朴でナチュラルな雰囲気を持っているということもメリットの一つです。

ブナのフローリングは主張が抑えめになっているので、ほかの家具や壁などとの相性をそこまで考えなくてもいいというメリットがあります。

木目がほとんど目立たず、全体的に均一な表面を持つため、シンプルでモダンなインテリアから、ナチュラルで温かみのある空間まで、幅広いデザインスタイルにマッチします。壁や家具に個性的なデザインを取り入れたい場合でも、ブナ材のフローリングは主張しすぎず、空間全体の調和を保ってくれます。

フローリングは主張を控えめにしたいがしっかりといいものを使い、過ごしやすい家にしたいと考えている方にとってはブナのフローリングは非常におすすめです。

長寿命

ブナ材は、耐久性が高く、長寿命であるため、長く使っていける木材です。

多くの家具や木製の玩具(おもちゃ)にブナが使用されているのも耐久性が高く、長く使える特徴があるためです。

ブナ材は時間の経過とともに徐々に色味が変化し、白っぽい色から黄色味を帯びた温かみのある色合いへと変わっていきます。

ただし、他の樹種と比較して経年変化は比較的緩やかであるため、施工時の鮮やかな色合いを長く楽しめるというメリットもあります。

化学物質を含まない自然素材

無垢材であるブナ材は、合板フローリングのような接着剤を使用していないため、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの化学物質の心配がありません。

特に小さなお子様やアレルギー体質の方がいるご家庭では、化学物質を含まない自然素材の床材が安心です。

また、一部の研究では、無垢材に含まれる成分が健康に良い影響を与える可能性も指摘されています。

ただし、ブナ材は広葉樹であるため、針葉樹(杉やヒノキなど)のような強い香り成分は少なく、香りに敏感な方やペットがいる家庭でも使いやすいという特徴があります。

ブナ材のデメリットと注意点

反対に、ブナのデメリットについても見ていきましょう。

乾燥処理の重要性

ブナのデメリットには、乾燥処理がしっかりされていないと木材自体が反ってしまうことがあります。

これは、先述した特徴にはなっているのですが、加工技術が発達するまでブナがフローリングに使用されなかった理由でもあります。

ブナ材は水分を多く含んでおり、木材内部の水分分布が不規則であることから、乾燥には熟練の技術が必要です。

十分な乾燥処理が行われていない場合、施工後に反りや歪み、最悪の場合は亀裂が入ってしまう可能性があります。

乾燥処理がしっかりされていなければ、ブナで作ったフローリングの一部が歪んでしまったり、そもそも傾いてしまっていたりするため、ブナでフローリングを作る際には業者選びが非常に重要だといわれています。

中途半端な知識や経験しかない業者に依頼してしまうと、施工後しばらくしてからフローリングが傾いたり歪んでしまったり、最悪の場合は亀裂が入ってしまったりするため、しっかりと経験豊富な業者に依頼しましょう。

湿度変化による寸法変動

無垢材の特性として、湿度の変化によって木材が膨張・収縮します。

これにより、季節によっては板と板の間に隙間ができたり、逆に膨らんだりすることがあります。

これは無垢材ならではの「呼吸」する性質であり、欠陥ではありませんが、事前に理解しておくことが重要です。

定期的なメンテナンスの必要性

ブナ材のフローリングは、定期的なメンテナンスが必要です。表面仕上げがオイル塗装の場合は、年に1~2回程度のオイルメンテナンスが推奨されます。

また、日常的には乾拭きを基本とし、水分をこぼした場合はすぐに拭き取ることが大切です。

適切なメンテナンスを行うことで、ブナ材の美しさと耐久性を長く保つことができます。

価格面での考慮

ブナ材は国産材の流通が少なく、主にヨーロッパからの輸入材が使用されるため、他の一般的なフローリング材と比較するとやや高価になる傾向があります。

ただし、その耐久性と長寿命を考慮すれば、長期的なコストパフォーマンスは優れていると言えます。

ブナ材フローリングのメンテナンス方法

日常のお手入れ方法

ブナ材フローリングの日常的なお手入れは、基本的には乾拭きで十分です。
1. 日常的には掃除機やほうきでホコリや塵を取り除く
2. 乾いた布で乾拭きする
3. 汚れが気になる場合は、固く絞った雑巾で水拭きする
4. 水分をこぼした場合は、すぐに拭き取る

オイル仕上げの場合は、年に1~2回程度、専用のメンテナンスオイルを塗布することで、木材の保護と美観の維持ができます。

傷や汚れへの対処

軽い傷や凹みは、サンドペーパーで削って修復することができます。深い傷の場合は、専門業者によるサンディング(研磨)再生サービスを利用することで、新品同様の美しさを取り戻すことが可能です。
これは無垢材ならではのメリットで、表面材が薄い複合フローリングでは難しい修復方法です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、フローリングの木材としてよく使われるブナについてご紹介してきました。

ブナは扱いが少し難しい反面、頑丈でナチュラルな雰囲気を出すことができる木材なのでリフォームや注文住宅を考えられている方はぜひ一度見てみることをお勧めします。

また、当社ではブナ以外にも数多くの木材を取り扱っているため、まだ木材選びが出来ていないという方はお気軽にご連絡ください。

 

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この記事の監修者

大栄住宅株式会社 / ゆいまーるClub 代表取締役社長 加藤 栄 Sakae Kato

福岡大学工学部化学工業科卒業。
研究では地球環境問題に興味を持ち「酸性雨に対する土壌の理科学的性質」を卒論に。
1992年より大阪の親族の分譲住宅施工販売会社にて16年間現場と営業を経験。
2008年自然素材を使った健やかで快適な住まいづくり、ゆいまーるClub を創業。
2012年一般社団法人環境循環型住宅推進協議会理事を務め環境に正しい住まいづくりを啓蒙。
健康、環境に配慮した住まいづくりを推進しながらお施主様に本当に良い家の知識を提供している。

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