珪藻土での壁リフォームのメリットデメリット注意点について
住まいの壁材を検討したことがある方なら一度は聞いたことがある珪藻土。
調湿・消臭効果がある珪藻土の壁は人気の壁材ですが、値段が高いイメージがあります。
そこで今回は珪藻土のメリットやデメリット、選ぶ時の注意点を紹介させて頂きます。
珪藻土とは
珪藻土とは、プランクトン等の死骸が海底に沈殿したものが化石化したもののことを言います。
二酸化ケイ素(SiO2)を主成分として、非常に細かい穴を持つ「多孔質素材」です。
この細かい穴で珪藻土は、湿気を吸収したり放出したりすることができるため、調湿機能の優れた壁材として近年話題になってます。
さらに消臭効果も高く、洗濯物を部屋干しする機会が多い方や、ペットの臭い対策をしたいご家庭にうってつけなのが珪藻土です。
漆喰との違い
珪藻土と漆喰の最大の違いは、原料の違いにあります。
珪藻土が植物プランクトンを由来としているのに対し、漆喰は珊瑚礁に由来しています。
奥行きのある白色が特徴的で、空気中の二酸化炭素と反応して固まっていく特徴があります。
珪藻土と同じように調湿効果があり、耐火性・耐久性だけでなく防水性にも優れているため、内壁材だけでなく外壁材としても活用されてきました。
珪藻土は吸水性が高いため外壁材としては不向きですが、調湿性は漆喰よりも高いといわれており、どちらかといえば内壁向きの壁材です。
仕上がりの違いについては、珪藻土はざらざらとした粒感が見えるのが特徴で、陰影が見えやすいため温かみがあります。
一方で漆喰はつるつると滑らかな質感が特徴で、白さが際立ちます。
壁は部屋の中でも面積が広いので、好みや部屋のテイストによって選んでもよいでしょう。
珪藻土壁のDIYと業者施工の比較
最近では、ホームセンターでも珪藻土塗料が販売されており、DIYでの施工も可能になっています。
業者に依頼するのとどちらがいいのかメリット・デメリットを比較します。
DIYでの珪藻土施工
DIYの場合、材料費のみで1㎡あたり500円〜1,500円程度に抑えることができ、施工費用を大幅に削減できます。
ただし、下地処理の知識や塗装技術が必要で、仕上がりの美しさや耐久性は経験に大きく左右されます。
初心者の方は、まず小さなスペースから始めることをおすすめします。
業者による珪藻土施工
プロの左官職人による施工では、下地処理から仕上げまで一貫した品質管理が行われます。
特に湿度の高い日本の住環境では、適切な下地処理と乾燥管理が珪藻土の性能を最大限に引き出すために重要です。
また、職人によるオリジナルテクスチャーの施工も可能で、唯一無二の壁面を実現できます。
珪藻土壁に適した部屋・適さない部屋
珪藻土壁が適した部屋と逆に適さない部屋の特徴を紹介します。
珪藻土壁におすすめの部屋
寝室や子供部屋は、珪藻土壁の調湿効果が最も活かされる空間です。
睡眠中の湿度調整により、快適な睡眠環境を維持できます。
また、リビングダイニングでは料理の臭いを吸収し、家族が集まる空間をより快適にしてくれます。
玄関やトイレなどの狭い空間でも、消臭効果により清潔感を保つことができます。
注意が必要な部屋
水回りのバスルームや洗面所では、珪藻土の吸水性が高すぎるため、カビの発生リスクが高まる可能性があります。
これらの場所には、防水処理を施した珪藻土や、他の壁材との併用を検討することをおすすめします。
また、小さなお子様がいるご家庭では、手の届く高さの壁面は汚れやすいため、腰壁部分のみ他の素材を使用する方法もあります。
珪藻土壁のメンテナンス方法
珪藻土壁のメンテナンス方法を紹介します。
日常的なお手入れ
珪藻土壁の日常的なメンテナンスは非常にシンプルです。
軽いホコリや汚れは、柔らかいブラシや掃除機のブラシ機能を使って優しく除去します。
水拭きは珪藻土の特性上避け、乾いた布での乾拭きが基本となります。
年に1〜2回程度、壁全体をチェックし、小さなキズや汚れがないか確認することで、美しい状態を長期間維持できます。
部分補修の方法
小さなキズや汚れが付いてしまった場合は、同じ珪藻土材料を使用した部分補修が可能です。
補修箇所を軽くサンドペーパーで整え、水で薄めた珪藻土を薄く塗り重ねることで、ほぼ目立たない状態に修復できます。
この作業は比較的簡単で、DIYでも対応可能です。
ただし、広範囲の補修や色合わせが難しい場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
珪藻土リフォームの費用相場
珪藻土の材料代は珪藻土の種類によって勿論値段に幅がありますが、相場としては1㎡あたり1,000~3,000円になります。
これに加えて施工費用(リフォーム費用)として1㎡あたり5,000~8,000円くらいの費用が発生します。
施工費用には下地処理などの費用も含まれています。
他の壁材との費用比較
他の壁材と気になる費用を比較してみました。
ビニールクロス(壁紙)との比較
一般的なビニールクロスの施工費用は1㎡あたり1,000円〜2,000円程度であり、初期費用では珪藻土の約1/3〜1/4の価格となります。
しかし、ビニールクロスは10〜15年で張り替えが必要になるため、長期的なコストを考慮すると珪藻土の方が経済的になる場合があります。
また、ビニールクロスには調湿効果がないため、除湿機や加湿器の電気代も考慮する必要があります。
塗装壁との比較
一般的な塗装壁の施工費用は1㎡あたり2,000円〜4,000円程度で、珪藻土よりも安価です。
しかし、塗装壁は5〜8年で塗り替えが必要になることが多く、メンテナンス頻度が高くなります。
調湿効果についても珪藻土には及ばないため、機能性を重視する場合は珪藻土の方が優れています。
珪藻土のメリット
前述した通り、珪藻土は非常にメリットが多い壁材です。
具体的なメリットを下記でご紹介します。
調湿性に優れている
珪藻土は別名「呼吸する壁」と言われており調湿性があるため夏や冬が快適に過ごせる点がメリットです。
最近珪藻土バスマットが流行っていることからもその調湿性の高さが分かります。
消臭効果も高い
珪藻土の別名「呼吸する壁」という名前から伺える通り、消臭効果も高いことがメリットです。
匂いとはそもそも匂いの分子が鼻の粘膜に触れることで感じるものです。
匂いの分子は空気中の水分子に溶けているため、調湿効果が優れた珪藻土は消臭効果も高いというわけです。
火に強い
珪藻土は七輪に使われていることから分かるとおり、熱に強い素材で、
融点は約1,250℃と七輪コンロや断熱レンガとして利用される火に強い素材です。
天然素材で体に優しい
珪藻土は天然素材のため、シックハウス症候群等の心配もありません。
これからお子さんが生まれる場合は、シックハウス症候群の危険はなるべく減らしてあげたいものです。
壁材として半永久的に長持ち
一般的なビニールクロスは15年で張替えの時期がきますが、珪藻土は半永久的に長持ちします。
施工時は高くみえる費用ですが、ランニングコストも考えると高くないといえます。
色の種類が多い
漆喰と比べて、色の種類が豊富です。
漆喰は無機物なため、5℃以下の寒い時期になるとカルシウムイオンが表面に浮き出てきます。
色付きの漆喰だと色が抜けて白い斑点が出てきてムラになる白華現象が起きるデメリットがあるため、白色系のものが多いのです。
一方、珪藻土は顔料(着色料)を混ぜることで数百種類の色を出すことができます。
ベージュや白色系の基本色をメインに使い、アクセントに鮮やかな青やオレンジなどの色味を使い分けることも可能です。
抗菌・防カビ効果
珪藻土は素材選びをしっかりすれば、抗菌効果、防カビ効果を期待できます。
珪藻土壁がもたらす健康効果
珪藻土壁はお子さまやアレルギー体質の方、睡眠の質にこだわりたい方にもおすすめです。
アレルギー対策への効果
珪藻土壁は、ハウスダストやダニの繁殖を抑制する効果があります。
調湿機能により室内の湿度を適切に保つことで、ダニが繁殖しにくい環境を作り出します。
また、天然素材のため化学物質を含まず、アトピーや喘息などのアレルギー症状を持つ方にも安心してお使いいただけます。
特に子供部屋での使用は、成長期の健康な住環境づくりに大きく貢献します。
睡眠の質向上効果
寝室に珪藻土壁を採用することで、夜間の湿度変化を緩やかにし、快適な睡眠環境を維持できます。
人は睡眠中にコップ1杯分の汗をかくといわれていますが、珪藻土がこの湿気を自然に調整することで、朝まで快適な状態を保ちます。
また、消臭効果により寝室特有の臭いも軽減され、より質の高い睡眠を得ることができます。
珪藻土のデメリット
メリットが多い珪藻土の壁材利用ですが、もちろんデメリットがないわけではありません。
下記のデメリットも把握したうえでメリットと天秤にかけて使用するか判断して頂きたいです。
強く撫でると粉が付くことがある
珪藻土はどうしても自然素材の壁材のため、強く撫でると粉が付くことがあります。
しかし、強く撫でなければ問題ありませんので、注意することで回避できるデメリットです。
吸水性が高いため、液体の汚れが落ちない
珪藻土は吸水性が高いがために、液体の汚れが落ちないということがあります。
水等の無色なものだと問題はありませんが、醤油や牛乳等は注意が必要です。
地震等の揺れでヒビが入りやすい
ビニールクロスや壁紙と比較してですが、珪藻土を壁材で使うと地震等でヒビが入りやすい素材です。
ただヒビが気になれば重ね塗りすることも可能なので、神経質な方でなければ大きなデメリットにはなりません。
混ぜる凝固剤によっては効果が弱くなる可能性がある
珪藻土は漆喰のような塗り壁材とは違い、単体では固まりません。
そのため、凝固剤を混ぜて施工します。
混ぜる凝固剤は、「自然素材」と「合成樹脂」の大きく2つに分けられます。
自然素材にこだわりたい場合は、凝固剤も自然素材系のものを選んでください。
合成樹脂を凝固剤として多く使うと、珪藻土の無数の穴を塞いでしまうことになります。
珪藻土の穴が塞がれてしまっては、期待していた調湿効果や消臭効果が得られづらくなってしまいます。
珪藻土の含有率が50%以下になると、漆喰よりも調湿性能が劣ると言われています。
もし珪藻土を使用するのであれば、混ぜる凝固剤の種類と、どのくらいの量を使用するかまで確認しておくことが重要です。
効果を発揮するためにも珪藻土の含有率が高いものを選ぶようにしましょう。
カビが生えやすくなる可能性がある
前述した珪藻土に混ぜる凝固剤によっては、カビが生えやすくなったり、逆にカビに強くなったりします。
カビ対策としても、凝固剤はしっかり選びましょう。
費用が高い
塗り壁全般に言えることではありますが、施工に手間や時間がかかるためどうしても価格が高くなってしまいます。
ビニールクロスと比較すると、3~5倍の費用がかかるといわれています。
金銭的な面だけで見るとデメリットに感じるかもしれませんが、逆に言えばそれだけ大切な家に手間暇かけてあるということです。
ビニールクロスのように5~10年おきに貼り替える必要がなく、見た目も美しく、機能性も高い壁であることを考慮すると、その価値はあるといえるでしょう。
業者が珪藻土を勧めない
珪藻土に限らず、内装を塗り壁にすると、手間暇がかかる上に、現場の管理や養生に、とても神経を使います。
塗って乾く前に、触ってしまうと、補修をしなければならなくなります。
また乾燥したあとでも、汚れたり、傷ついたりした場合は、壁1面を塗り直さないとならないといったことも起こります。
新築や、リフォームで、壁や天井を珪藻土にする場合、傷や汚れがある状態で引き渡すなんてことはできませんので、その意味でも、ビニールクロスと違って、珪藻土の塗り壁だと、工事業者の方も神経を使います。
このようなことがあって、工事業者側は、珪藻土を勧めたがらないのです。
メリット•デメリットのどちらにもなりうる特徴
ざらざらしている質感
漆喰と珪藻土では仕上がりの雰囲気が大きく異なります。
珪藻土のざらざらした質感は好き嫌いが分かれるものです。
仕上がりの雰囲気が好みに合っているかが重要になります。
もし質感にこだわりがないのであれば、メリット•デメリットを意識して機能性で選ぶのも良いでしょう。
仕上がりは職人の腕に左右される
他の壁と違い、職人の腕によって表情が大きく左右されるのが塗り壁の特徴です。
耐久性も職人によって変わってきますので、塗り壁を選ぶ場合は、腕の良い左官職人を探すことが非常に重要になります。
珪藻土を選ぶときの注意点
壁材に珪藻土を選ぶ際に注意しないといけない点を紹介します。
注意事項を知らないとせっかくの珪藻土のメリットを感じられないこともありますので、ぜひ覚えておいてください。
混ぜる凝固剤・つなぎ材の影響を受ける
珪藻土は単体で固まる素材でないため、凝固剤を使用することになります。
凝固剤の一種の合成樹脂等は多く使ってしまうと珪藻土の無数の小さい穴を塞ぐことになり、
本来の調湿機能は発揮できないことがあります。
珪藻土を使う際は凝固剤にも注意して選ぶことをオススメします。
職人により仕上がるに差が出る
珪藻土は塗り後に敢えて味を出す等、仕上げ方が多彩です。
だからこそ職人の腕やセンスに左右されることも多いことに注意しておきましょう。
珪藻土リフォームを成功させるためのポイント
珪藻土壁施工のリフォームを成功させるには、これらのポイントが重要です。
業者選びのコツ
珪藻土リフォームを成功させるには、経験豊富な施工業者の選択が重要です。
施工事例を多く持ち、珪藻土の特性を熟知した業者を選びましょう。
見積もり時には、使用する珪藻土の種類、凝固剤の詳細、施工手順について詳しく説明してくれる業者が信頼できます。
また、アフターメンテナンスについても事前に確認しておくことで、長期間にわたって美しい珪藻土壁を維持できます。
施工タイミングの考慮
珪藻土の施工には湿度管理が重要で、梅雨時期や真冬の乾燥時期は避けることをおすすめします。
春や秋の気候が安定した時期に施工することで、珪藻土本来の性能を最大限に発揮する仕上がりになります。
また、家具の移動や生活への影響も考慮し、計画的なスケジューリングが成功の鍵となります。
まとめ
今回は珪藻土について、原材料やメリット、デメリットを紹介させて頂きました。
壁材を珪藻土に変えるだけでも、様々な変化があることが理解頂けたかと思います。
リフォームの際は、壁材もしっかりと検討頂けるとことでより機能的で素敵なお家が出来上がります。
珪藻土を使ったリフォームの施工事例をご紹介します
最後に珪藻土を使った弊社の事例を紹介させて頂きます。
弊社は無垢材に拘った住まいづくりをコンセプトにリフォームをしておりますので、皆様の参考になれば幸いです。
施工事例①
人に優しい自然素材と アンティーク調の趣に囲まれて
施工事例②
“かまくら”がある住まい「大阪市のリノベーション」