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インナーバルコニーのメリット・デメリット、設置する際の注意点

インナーバルコニー

屋根が付いていながら、外の空気を感じられるインナーバルコニーが自宅にあれば、家にいる時間もより楽しむことができます。

おしゃれなイメージがあるインナーバルコニーですが、実際に設置する前にメリット・デメリットも知っておきましょう。

インナーバルコニーとは?

インナーバルコニーとは、2階以上の階に作られる、バルコニー部分が建物の内側に引っ込んだ屋根付きのバルコニーのことです。

屋外でありながら、屋根があるので天候の影響を受けにくく、急な雨で洗濯物が濡れてしまうのを防いだり、気軽に外で食事やお茶を楽しむスペースなどとして使うことができます。

一般的なバルコニーとの違い

一般的なバルコニーとの違いは、設置方法と屋根の有無です。

一般的なバルコニーに屋根はなく、建物の外に張り出した形で設置されます。

これに対してインナーバルコニーは、建物の内側につくられた屋根が備わったスペースです。

どちらも洗濯物を干したり、食事やお茶を楽しんだりする際に活用されますが、とくにインナーバルコニーは屋根があるので、急な雨などの天候の変化があっても安心できるという特徴があります。

サンルームやベランダとの違い

同じく洗濯物を干したりするスペースとしてイメージする人が多いと思われる、サンルームやベランダとの違いも確認しておきましょう。

サンルームは自然光を室内に取り入れるため、ガラスで壁や天井を覆った空間のことを指します。

外とは遮断されているため、一つの部屋として使うことができます。

一方、インナーバルコニーは屋根はありますが、屋外であるという点でサンルームとは異なります。

また、ベランダとの違いですが、日本では一般的にベランダは2階以上にある建物の外に張り出した手すりのある屋根付きの屋外スペースのことを指します。

建物の内側にあるインナーバルコニーとは異なり、建物の外に張り出した形で設置されます。

インナーバルコニーはベランダのような使い勝手と、天候に影響を受けにくく、プライバシーを確保できるスペースとしての機能を兼ね備えた空間といえます。

インナーバルコニーの需要が高まる背景

近年、住宅デザインのトレンドとしてインナーバルコニーの人気が高まっています。その背景には、ライフスタイルの変化と住環境への意識の変化があります。

リモートワークの普及により、自宅で過ごす時間が増えたことで、家の中に開放的で快適な空間を求める方が増加しています。また、都市部では隣家との距離が近く、プライバシーを保ちながら外の空気を楽しみたいというニーズも高まっています。

さらに、2024年から2025年のインテリアトレンドでは、自然素材や環境に配慮したサステナブルなデザインが注目されており、屋内と屋外の境界を曖昧にする半屋外空間であるインナーバルコニーは、このトレンドにも合致しています。

インナーバルコニーのメリット

インナーバルコニーを設置した際のメリットを5つご紹介します。

開放的な空間

インナーバルコニーを設けると、外につながる開放的な空間をつくることができます。

室内から外に向かって床スペースが広がるので、室内からも部屋を広く感じられます。

天候に影響されにくい

インナーバルコニーには屋根が付いているので、急な雨で洗濯物が濡れてしまうことを防いだり、紫外線が気になるという方も屋根があることで直射日光を避けることができます。

プライバシーを確保

インナーバルコニーは外壁に囲まれているためプライバシーを確保できます。

人通りの多い道路沿いの家や隣家との距離が近い家でも安心して過ごすことができます。

エネルギー効率の向上

インナーバルコニーは、建物の外壁と一体化しているため、断熱効果が高まります。

これにより、室内の温度を一定に保ちやすくなり、冷暖房の効率が向上します。

特に夏場は直射日光を遮ることで室内の温度上昇を抑え、冬場は外気の冷たさを和らげる効果があります。

防音効果

インナーバルコニーは、外部の騒音を遮断する効果もあります。

建物の内側に設置されているため、外部からの音が直接室内に入るのを防ぎます。

特に交通量の多い道路沿いや、隣接する建物との距離が近い場合に、その防音効果は顕著です。

資産価値の向上

インナーバルコニーは住宅の付加価値を高める要素として注目されています。

半屋外空間という独自の魅力は、将来的な売却や賃貸を考える際にも有利に働く可能性があります。

特に都市部では、限られた敷地でプライベートな屋外空間を確保できるインナーバルコニーは、物件の差別化ポイントとして評価されています。

インナーバルコニーのデメリット

インナーバルコニーのメリットを紹介してきましたが、一方でデメリットもあります。

ここでは、インナーバルコニーのデメリットについても紹介します。

建築費や固定資産税などのコストがかかる

インナーバルコニーは建物の内部につくることから上下の階に配慮した施工をする必要があり、一般的なバルコニーをつくるよりもコストがかかります。

また、固定資産税の計算をする際はその建物の延べ床面積を利用しますが、建物の外部に設けられたバルコニーやベランダは外壁面からの出幅が2m以下の部分は延べ床面積には含まれません。

しかし、屋根のあるインナーバルコニーは建物の内部として扱われるため、通常は延べ床に含まれます。

インナーバルコニーを設置する際は床面積に含まれる部分をしっかりと確認したうえで導入を検討しましょう。

部屋が暗くなる可能性がある

インナーバルコニーに隣接する部屋には日光が入りにくくなり、部屋が暗くなってしまうというデメリットがあります。

天窓を設置するという方法もありますが、それでもインナーバルコニーの奥行きが大きい場合には、隣接する部屋が暗くなってしまう場合があるので、インナーバルコニーを設置する前に、部屋の明るさはどれくらいになりそうか、採光はどうするかといった問題を検討して、後から後悔のないようにする必要があります。

定期的なメンテナンスが鍵

インナーバルコニーは屋根があるため雨風の影響は受けにくいものの、定期的な清掃とメンテナンスが必要です。

特に排水溝の詰まりは水漏れの原因となるため、落ち葉やゴミの除去は重要です。

また、床面の防水処理は経年劣化するため、10年から15年を目安に専門業者による点検と補修を検討することをおすすめします。

自然素材を使用している場合は、素材の特性に応じた適切なメンテナンスを行うことで、長期間美しい状態を保つことができます。

インナーバルコニーが活躍するシーン

インナーバルコニーが活用できるシーンをご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

屋根付きで安心なランドリースペース

インナーバルコニーを洗濯物干しスペースにすると、雨が降ってきても洗濯物が濡れてしまうのを防ぐことができます。

インナーバルコニーの横に室内のランドリースペースを設けると、いつでも洗濯ができてストレスフリーで作業ができます。

外とつながった開放的なセカンドリビング

2階にリビングがある場合は、リビングからインナーバルコニーにつなげることができるので、リビングを開放的な空間にしてくれます。

フェンスを高くして外からの視線を遮る工夫をすればプライバシーも確保されるので、安心してくつろぐことができます。

アウトドア気分を満喫

インナーバルコニーにハンモック等を設置すれば、家にいながらアウトドア気分を満喫することができます。

風通しもよく、自然に喚起できるので、バーベキューや焼き肉など、においがこもりがちな食事も気にせず楽しむことができます。

安全な子供の遊び場に

外につながってるとはいえ、家の敷地内なので、小さなお子様でも安全な遊び場として活用することができます。

夏場はプールを置いて遊ぶスペースとしても最適です。

直射日光が当たりにくいため、日焼けを心配することなく遊ぶことができます。

ペットの遊び場として

インナーバルコニーは、ペットにとって安全で快適な遊び場となります。

屋内と屋外の中間に位置するため、ペットが自由に遊び回ることができ、外の新鮮な空気を楽しむこともできます。

また、インナーバルコニーは囲まれているため、ペットが外に逃げ出す心配も少なく、安心して遊ばせることができます。

ガーデニングスペース

インナーバルコニーは、ガーデニングを楽しむための理想的なスペースです。

日当たりが良く、風通しも良いため、植物が健やかに育ちます。

鉢植えの花やハーブ、野菜などを育てることで、緑豊かな空間を作り出すことができます。

また、インナーバルコニーは屋内に近いため、天候に左右されずにガーデニングを楽しむことができるのも大きなメリットです。

リモートワークスペース

在宅勤務が増えた現代において、インナーバルコニーは集中できる作業スペースとしても活用できます。

自然光が入り、外の空気を感じながら仕事ができる環境は、生産性の向上にもつながります。

小さなデスクと椅子を配置するだけで、室内のリビングとは異なる「仕事モード」に切り替えられる専用スペースが完成します。

屋根があるため、パソコンなどの電子機器も安心して使用できます。

ヨガ・フィットネススペース

開放的な空間で、外の空気を感じながら行うヨガやストレッチは格別です。

インナーバルコニーなら、人目を気にせず自分のペースで運動に取り組むことができます。

朝のルーティンとして朝日を浴びながらヨガを行ったり、夕方のクールダウンとして軽い運動をしたりと、健康的なライフスタイルをサポートする空間として活用できます。

インナーバルコニーを設置する際の注意点

インナーバルコニーを設置する際に注意すべきことを紹介します。

使い勝手のいい動線を考えて設置する

インナーバルコニーを設置する際は、あらかじめ使用目的を決めてから、その目的に合わせた動線上に設置しましょう。

例えば、洗濯物干しスペースにするなら室内のランドリースペースから近い場所に設置すると使い勝手がいいですし、食事を楽しみたいという場合は、キッチンから飲食物を運ぶ動線を意識して設置するといいでしょう。

セカンドリビングとして利用する場合は洗濯物干し場を分ける

インナーバルコニーをセカンドリビングのように、食事をしたりくつろぐ場所として利用するばあいは、洗濯物があると生活感が出てしまうので、なるべく洗濯物を干す場所は別に設けるようにするのがおすすめです。

外からの視線が気にならないよう、プライバシーを確保する

隣家との距離が近かったり、車や人通りの多い道路に面している場合は、外からの視線が気にならないように、フェンスを高めにするなどの工夫をしてプライバシーを確保しましょう。

ただし、フェンスを設置する際は、日当たりが悪くならないようにも気を付けましょう。

収納スペースを確保する

インナーバルコニーにテーブルや椅子などを置く場合、台風など悪天候のときに出しっぱなしにしておくのは危険なので、なるべく使用しないときはしまっておくと安心です。

インナーバルコニーに収納庫を置くか、室内に収納する場所を確保しておきましょう。

室内に収納スペースを設ける場合は、出し入れしやすい動線を考慮しましょう。

建築基準法と確認申請

インナーバルコニーを設置する際は、建築基準法を遵守する必要があります。

特に既存住宅に後付けする場合は、増築扱いとなり確認申請が必要になるケースがあります。

延べ床面積に含まれることで建ぺい率や容積率に影響する可能性もあるため、設計段階で専門家に相談し、法的な問題がないか確認することが重要です。

自然素材を活用したインナーバルコニーのすすめ

インナーバルコニーの床材や手すりに自然素材を使用することで、より温かみのある心地よい空間を演出できます。

無垢材のウッドデッキは素足で歩いても気持ちよく、経年変化も楽しめます。

また、竹やコルクなどのサステナブルな素材を選ぶことで、環境にも配慮した住まいづくりが実現します。

自然素材は調湿性や断熱性にも優れており、快適な空間づくりに活きます。

ただし、自然素材は定期的なメンテナンスが必要となるため、材質に応じた適切な手入れ方法を理解しておくことが大切です。

まとめ

インナーバルコニーを設置すれば、趣味を楽しんだり、家族とくつろげる場所になるでしょう。

ぜひ、理想の家づくりにインナーバルコニーを取り入れてみてはいかがでしょうか?

ゆいまーるClubでは、自然素材にこだわった住まいづくりを行っています。

お気軽にご相談やお問い合わせください。

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この記事の監修者

大栄住宅株式会社 / ゆいまーるClub 代表取締役社長 加藤 栄 Sakae Kato

福岡大学工学部化学工業科卒業。
研究では地球環境問題に興味を持ち「酸性雨に対する土壌の理科学的性質」を卒論に。
1992年より大阪の親族の分譲住宅施工販売会社にて16年間現場と営業を経験。
2008年自然素材を使った健やかで快適な住まいづくり、ゆいまーるClub を創業。
2012年一般社団法人環境循環型住宅推進協議会理事を務め環境に正しい住まいづくりを啓蒙。
健康、環境に配慮した住まいづくりを推進しながらお施主様に本当に良い家の知識を提供している。

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